毒親は変わらないー機能不全家族に育った子どもはどうすればよいのだろう?

「どんな親も子どもを愛している」という人は多い。そしてそれを信じている子どもがほとんどだ。

しかし実は「どんな子どもも親を愛している」という方が真実に近いのではないかと私は思っている。

虐待を受けて保護されている子どもや、毒親に苦しめられ苦しみ続けている人が、それでも親に愛されたいと願うのはそのためだ。

愛している人に愛されたいのは、本能と呼んでもよいかもしれない。どんなひどい親であっても、自分を傷つけた親であっても、子どもは親を愛してしまうのだ。

アメリカでの調査で、機能不全の家庭は全体の85%だという説があるそうだが、私はむしろ15%も機能不全でない家庭があるのか!と驚いた。

機能不全家族とは「家族の誰か(一人でも)、または全員が何かに我慢させられている状態」だとAC克服カウンセリングの吉野遼太氏は言う。完全な人間や人間関係などは存在しないから、そういう意味では「誰も我慢させられていない家庭」が15%もあるというのはある意味すごい。

しかし実際は、最初から機能不全がない家庭はほぼないのではないだろうか。どこかのタイミングで、親となった「もと苦しんだ子ども」が、自分の苦しみの根源がどこにあったかを知り、それを排除した家庭を作る努力を始めることで、我が子を苦しめない家庭を作れるのだろう。

「虐待は連鎖する」ということは周知になっているが、「毒親は連鎖する」ことにはまだまだ無意識な人が多いと思う。「毒親」という言葉のインパクトが強すぎるせいもあるからだろうが、機能不全家族を作ってしまっている親のことをそう定義するなら、毒親でない親のほうが圧倒的に少ない。

「誰かが我慢している家庭」という定義も、あまりにも長い間それをしている人にとっては、それがデフォルト、当たり前のことになってしまっているから、「我慢」というものに該当とも思わない人が多いだろう。

あからさまな「虐待」「ならば、それをされている人は自分をその場から遠ざけたほうが良いことに気づきやすいが、ほとんどの場合、当たり前になってしまっている「我慢」に気づくのは難しい。その人にとっては、もうそれらがあまりにも普通になってしまっているので、そこから離れることなど考えつくこともないのだ。

私の場合は、潜在意識のレベルで感じていた苦しさと悲しさを、何度も何度も夢で見ていた時期が数年単位であった。その頃は、姑との葛藤が人生の表面に出ていてので、実の親とはむしろうまくいっていると思っていた。

しかし、自分が子どもを持つようになって、何かが自然にほどけてきたのだろうか、夢の中で母に理解してもらえない悲しみを味わうことが多くて、目覚めたときに枕がぐっしょり濡れているほど、夢の中で泣いていた。なぜこんなに私は悲しくてならないのか、目覚めた自分には不思議なほどだった。

その後、私は「自己認識」というワークを通して、親との関係性を見つめ、ワークし、実際に親達とも対話した。それらを通して、私は自分自身が我が子達にとって毒親であったことを深く認識し、彼らに謝罪し、自分の在り方を見つめ続けた。

それを始めてから早二十数年が経ち、何度も何度も小さなことでも繰り返し向き合ってきて、今は自分の子ども達とは良好な関係性になっているとは思っている。

でも、私と私の家族は変わったけれど、私の親は何も変わらなかった。むしろ年老いたことで、前よりひどくなったと言える。自分自身が孫を持つ年齢になっても、私は親を前にすると、機能不全の家族の中で果たしていた自分の役割に飛び込んでしまうのだ。

私は今とても幸せに生きているのに、その幸せが100%に感じられないのは、この「機能不全の家庭の中の子ども」に戻ってしまう自分がまだ存在しているからだ。

私は自分の子ども達には、親の側からのアプローチをすることができた。しかし、私はそれを、自分の親から受け取ることは不可能だ。それなら、どうすればよいのだろう?長年その方法を探し続けて、今ようやく私は一つの希望を見つけて、それに取り組んでいる。

それはインナーチャイルドを、大人になっている自分がもう一度育て直すというチャレンジだ。機能不全の家族の中に育ち、与えられた環境によって得てしまった自分に対する「負の解釈」を真実だと思い込んでいる、それが傷ついたインナーチャイルドだ。もう大人になっている自分の中に、いつまでも傷ついた子どもがそのまま存在しているのだ。

傷ついた子どもを抱きしめて、謝って、愛を伝え直すことは、我が子にはできても自分はしてもらえない。親は変わらない。変われる親は、自分でそのことに気づく人だけだ。こちらから求めても、求められて変わる人はほぼいない。

カルト宗教にはまる人、スピリチュアルの指導者にはまる人、恋愛依存、ギャンブル依存、アルコール依存、更にはそういう人たちに共依存する人も、みんな傷ついた子どもを自分の中で持て余している人たちなのだ。

自分を含め、多くの苦しんでいる人たちをこれまで見てきて思うのは、「苦しい」と感じられる人はまだましなのだということだ。「苦しさ」を感じる代わりに、それを見つめる代わりに、自分が毒親になってしまって、何より無償の愛で育てなければならない子どもを苦しめている人たちもいるからだ。

自分がされて苦しかったこと、悲しかったことを、愛する我が子にしてもよいと自分にOKを出すなら、それは「愛ゆえ」のことだったと整合性がつくからだ。自分の苦しみを正しいことだったと誤魔化すことで、その悲しみを感じることを紛らすことができるからだ。

これが「毒親の連鎖」だ。「虐待」と名付けられるほどハードな仕打ちでなくても、純粋無垢に生まれ、ただ親の無償の愛を求めていた子どもには、未熟な親達に育てられることは、とてつもなく傷つけられるできごとの連続だったのだ。

85%というとてつもない数字が正しいかどうかはわからないが、子どもだった自分が傷つけられ、そのときの傷を持ったまま大人になっている人は本当に多いと思う。それを「癒す」というだけでは事は足りず、その時に持ってしまった、自分に対する負の解釈(自分が悪い、自分は情けない、自分はわかってもらえない、自分はひとりぼっちだ・・etc.)を書き換え、抱きしめ、愛して育て直すことが必要だ。

親がそれをしてくれなくても、大人になった自分が自分にそれをしてあげればよい。逆に言うなら、それができない限りは、私たちは永遠に「負の解釈」から自由になるのは難しいかもしれない。

インナーチャイルドを育て直すこと、アダルトチルドレンについての学びとワークにインスピレーションを与えてくださる吉野遼太氏のYouTubeチャンネルは下記の通りです。

アダルトチルドレン克服心理学【吉野遼太】
アダルトチルドレン克服カウンセリング(京都・大阪)のステージアップカウンセラー:吉野遼太です。 アダルトチルドレン(AC)克服の考え方やヒントをお伝えしていきます 【毎週金曜日21時に更新中】

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